【前編】
「WOOLISH」の魅力と可能性

LIFiLLが生み出した、他にはないオリジナル素材「WOOLISH」。
ウール100%なのに、チクチクしない。素肌に触れたくなるようなとろける肌触り。その特別な生地が生まれる背景には、職人たちの技術と情熱がありました。
今回はWOOLISHの生地を生み出している工場様にお話を伺いし、その情熱と苦労を語っていただきました。

「洗えるウール」
―いつもWOOLISHの生地を作っていただいてありがとうございます。本日はよろしくお願いいたします。
まず最初にWOOLISHの強みについてお伺いできればと思います
素肌に着用してもチクチクしない、希少価値の高い羊毛繊維であるスーパーエクストラファインメリノ原料スーパー140’Sを使用している点。なおかつ、羊毛スケールを薬剤処理し、特殊な樹脂でコーティングすることで、家庭洗濯時の縮み・フェルト化(※1)を抑制させた生地に仕上げています。
また糸の撚り回数を弊社レシピにてオーダーしているので、毛羽立ちと生地斜行を抑えています。
※1 生地が縮んで固くなる現象のこと
―スケール処理というのはなんですか?
羊の毛の表面は鱗状になっていて、人の髪の毛でいうとキューティクルみたいなものです。これが水分を吸収すると開き、その状態で揉みこむと絡む。これがフェルト化というもので、生地が縮んで固くなってしまいます。
このフェルト化を防ぎ、自宅でもお手入れができるようにする加工がスケール処理です。
このスケールを処理をする際、特殊な加工はしますがウールの良さは残したままなので、ウールの機能性や風合いを保ちつつ、お手入れが楽になるという感じです。
―ウールは洗濯できないと思っていましたが、WOOLISHは洗濯できると聞いて初めは驚きました。どんなに素敵な商品でも、お手入れに手間がかかると着るのが億劫になってしまいますよね。
WOOLISHは何回洗濯しても毛羽立ちがなく、お客様にもよく驚かれます。
そうですね。毛羽立つと一気に着古した感が出てしまうので…。

繊維の優等生
―原料であるウールの強みはなんですか?
保温性・吸湿放湿性に優れて、防汚効果があり、シワになりにくい。更に抗菌・消臭効果がある高機能繊維です。糸自体がそういった機能性を持っているのはウールだけですね。
だから山に登る時はみなさんご存知のようにウールの下着を着て登られる方が多いんです。1週間着続けても、3日間放置すればニオイも消えますし。そこがウールの良いところです。
ウールはメリット・デメリット全部含めて繊維の中で優等生というか…。学校の5段階評価で言えばオール4。全てに関して4なんですね。ただどこかにすごい特化しているわけではないですし…。あとウールのデメリットを言えば、強度が弱いんです。なのでオール4ですね。
―なるほど。天然素材であるウールはよく合成繊維(※2)と比べられることが多いと思いますが、合成繊維との違いみたいなものはありますか?
石油から作っているので合成繊維には強度がありますね。人間のやりたいことに従ってくれる繊維なんです、天然ではなく人間が作っているので。
きちっと企画にハマる(やりたいことに従ってくれる)のはポリエステル。逆にウールの原料の羊は1体ずつ個体差があるので、その時とれた原料の状態によって人間のいうことを聞いてくれない子もいるんです。伸びたり縮んだり毛玉ができたり…。なので紡績(※3)の方とかも結構苦労されているみたいです。
※2 石油や石炭などの天然物から科学的に合成された繊維のこと。ポリエステルやナイロンなど
※3 綿花や羊毛などの繊維から糸を作ること
―個体差がある、というのは天然繊維ならではの悩みですね。
そうですね。難しいところです。
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